僕等は、それを恋と呼んだ。



「それに彼女がいたら、一緒に勉強でもしてるっつの」

「あ」

「お前むかつくなぁ」


軽く睨まれて、あたしは笑う。


先輩、彼女いないんだ。

モテるから“彼女ができない”ってわけじゃないと思う。

つくらないだけなのかな?

受験生だから?



「詩乃佳は、あの男とラブラブなんだろ?」

「うん」

「そ。良かった」


先輩にそう言われて、何だか嬉しくなった。



「じゃあ、あたしもう行くね」

「あぁ。メールしろよな」

「うん。勉強頑張ってね」


そう言って、席から立ち上がる。


「じゃあな」


軽く手をふる先輩の笑う顔は変わってない。


「うん、ばいばい」



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