僕等は、それを恋と呼んだ。



「え、あ、待って!」


あたしは思わず、梨音ちゃんを呼び止める。


…あたしの気のせい?


それとも…



「……梨音ちゃんは…っ、何で利揮と別れたの…?」


その言葉に、梨音ちゃんは笑った。







「……大好きだから、だよ」









――ドクン。


心臓の音が全身に響いた気がした。



「…利揮には一番幸せでいてほしいから…。
だから、別れたんだよ。




じゃあ…またね、詩乃佳ちゃん」

「………」






何も、言えなかった。



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