僕等は、それを恋と呼んだ。
あたしが、もし梨音ちゃんだったら、梨音ちゃんみたいに好きな人の幸せは祈れないよ…。
「詩乃佳」
靴を履き替えて、差し伸ばされた手をギュッと握る。
「ね…、利揮」
「ん?」
あたしの右手をしっかり握りながら、あたしを見下ろして笑う。
「……」
好き。
利揮が、好き。
すごく好き。
…梨音ちゃんが利揮を好きだとしても、
あたしも利揮が大好き。
負けないくらい大好き。
だから、利揮があたしを好きだと言ってくれるなら、あたしは利揮から離れない。
「寒いね」
「なー」