僕等は、それを恋と呼んだ。

終わった、恋。




「…はい、ココア。
熱いから冷まして飲めよ」

「…ありがとう、圭ちゃん」


あの後、あたしは先輩におんぶしてもらって、先輩の家へ行った。


…歩く気力さえ無かった。


「…落ち着いたか?」

「うん…ごめんね」

「何で?」



優しく笑ってあたしの頭を撫でてくれる先輩に、泣きそうになった。



「……だって圭ちゃん、友達とパーティー…」

「…あぁ、いーよ、別に気にしないでいいから。

詩乃佳、ほっとけないし」


そんな優しい言葉に、悲しくなる。



……優しくしないで。


優しくされたら、あたしはその優しさに甘えてしまいそうだ。



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