僕等は、それを恋と呼んだ。



幸せだけの恋なんて、ないのかもしれない。


けど、辛い恋はもう嫌。

やだ。


疲れたよ。




「何て願った?」


帰り道。

そう聞いた先輩にあたしは笑う。


「秘密」

「だと、思った」

「…先輩は何てお願いしたの?」

「秘密」

「だと、思った」


先輩の隣は、落ち着く。


……一人になると、嫌でも利揮を思い出してしまうから。


だから、くだらない話でも先輩と話をしていると落ち着いた。



「もう帰る?どっか寄ってく?」

「おなかすいたかも」

「じゃ、どっか寄ってくか」



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