僕等は、それを恋と呼んだ。
「寒くねー?」
「大丈夫だよ」
圭ちゃんはいつだって優しくて。
その優しさに、頼ってしまうよ。
「……」
学校が見えてくると、進んでた足がどんどんゆっくりになっていく。
利揮に会うのが、怖い。
「…大丈夫か?」
「うん。大丈夫。行くよ」
でも、逃げてもどうしようもないんだ。
強くなりたい。
逃げてるばっかじゃダメなんだ。
一歩、一歩、歩いていく。
そして、玄関まで来た瞬間。
「―――詩乃佳」
誰かに名前を呼ばれた。