僕等は、それを恋と呼んだ。



「屋上に続く階段。人いないから」


あたしの腕を引っ張ったまま歩く利揮。



…強引。


なのに、あたしの腕を掴む手は優しいんだ。



「……」

「……」



屋上の入り口の前、二人で立ち止まる。


あたしの腕を掴む手が離れていく。



「……元彼と学校来たのか?」

「…うん」

「何で」

「……。圭ちゃんが家の前で待っててくれたから」

「“圭ちゃん”って呼んでんだ」



……ねぇ、何で、怒ってんの。


何で、怒れるの?




自分は、あたしを置いて

梨音ちゃんのとこに行ったのに?



「てか、何で元彼が待ってるわけ」



ねぇ、残酷だよ。



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