僕等は、それを恋と呼んだ。
離れた距離
「ねぇねぇ、これから暇?
暇ならさっ、三人でカラオケ行こーよっ!」
鞄を肩にかけ、そう言うのは依知菜。
「いーよ」
「あたしも、暇!」
―――三学期も始まって、1週間。
今日は、木曜日。
利揮の部活が休みな木曜日。
…でも、もう、あたしに予定はない。
「よーし!
何、歌おっかな~?」
駅前のカラオケに入ると、あたしはすぐにパラパラと本をめくる。
「…ねぇ、詩乃佳」
「んー?誰から歌う?」
「あのね…」
そう言ったきり黙る依知菜に、あたしは本から視線をあげる。