僕等は、それを恋と呼んだ。



「てか梨音。
おばさん、もう大丈夫?」

「うん…っ。
ごめんね、迷惑かけて」

「ううん。良かった」



そう言って笑った俺を、じっと梨音は見つめる。


「―――利揮」

「ん…?」

「あたしは…、
今でも利揮が…好きだよ」



一瞬、ビックリして固まった。


けど、すぐに答えた。



「…ごめん」


そう言う俺に梨音はニコリと笑った。



「うん。コレは、あたしなりのけじめ」

「…けじめ?」

「うん。
あたしね、利揮と別れた時うそついたから」


…うそ?



「利揮に幸せになってほしい、と思ったのは本当。

けど、本当は…別れたくなんかなかった」

「…梨音、」



< 193 / 304 >

この作品をシェア

pagetop