僕等は、それを恋と呼んだ。



「―――ごめん」


静かな空間に、あたしの声が少し響く。


2月の強い冷たい風が窓をうちつけてカタカタと音をたてた。



――2月14日、今日はバレンタイン。



「……」

「あたしは…、やっぱり利揮が好き。


圭ちゃんのことも好きだけど、その好きは利揮に対しての好きと違う。

……ごめん」



あたしの目の前には今、圭ちゃんがいる。




「……詩乃佳を置き去りにするよーなやつなのに?」


圭ちゃんの声が響く。




「――うん」

「もう望みのない恋かもよ…?」



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