僕等は、それを恋と呼んだ。



「――うん。

それでも…、あたしは利揮が好き。
だから、圭ちゃんとは付き合えない」


あの日……利揮と梨音ちゃんと職員室で会った時に、分かってしまった。


まだ全然、利揮が好きなことに。



「ごめんね…圭ちゃん」

あんなに優しくしてくれたのに……。


……でも、それでも、

利揮が好きで。


だから、もう圭ちゃんの気持ちをこのままになんか出来ない。



「…そっか、うん」

「圭ちゃ…」

「ありがと、詩乃佳」


ぐっと涙をこらえる。


だめ。

だめだ。



あたしが、泣いちゃだめ。


今、あたしが泣くなんて卑怯だ。



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