僕等は、それを恋と呼んだ。



「…ばいばい」

「おぉ。これ、さんきゅな」


ニッと圭ちゃんは笑う。

最後だからこそ、あたしは圭ちゃんにクッキーをつくった。


いつだっけなぁ。


“チョコは苦手”って言ってたよね。


だから、クッキーをつくったんだ。



「……アイツにも、渡せるといいな」

「…うん」

「…じゃあな」



そう言って圭ちゃんは背を向ける。




「詩乃佳」

「……ん?」

「…頑張れよ」

「――っ。うん…っ」



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