僕等は、それを恋と呼んだ。
―――カタン。
結局、利揮には渡せなかったクッキー。
バレンタイン。
利揮はきっと、梨音ちゃんと過ごしているのかな。
「……」
自分から手放したんだ。
ねぇ、でも利揮。
想いを伝えられないけど、想うだけならいいかなぁ。
好きでいてもいいかなぁ。
「……食べてくれるといーな」
こっそり利揮の下駄箱の中にクッキーをおいた。
名前は書いてないから、誰からのか分からないし、利揮は食べないかもしれない。
でも、それでもいい。
「…好き」