僕等は、それを恋と呼んだ。



利揮の姿が人ごみから消えていく。


…胸が痛い。


久しぶりに…喋った。



普通に、喋った…。



――ドキン、ドキン。



なんでだろう。


久しぶりに喋っただけで、こんなにドキドキする…。


利揮とまた同じクラスで、良かった。


また…、また普通に話せるのかな?



前みたいに普通に……。



「詩乃佳、平気?」


固まったままのあたしに、心配そうな顔をする依知菜と亜紀。



――依知菜と亜紀にはバレンタインの後、利揮のことも梨音ちゃんのことも先輩のことも全部話した。



「…だ、大丈夫…」



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