僕等は、それを恋と呼んだ。



「…依知菜」


席に戻ったあたしは、隣に座る依知菜に声をかける。


「……」

「…依知菜?」

「え?あ、何?」


最近の依知菜は、ボーッとすることが多い。


――真島の話さなくなってから。


特に、真島が詩乃佳と話してる時は。



………依知菜も、多分もう自分でも気付いてる。


「依知菜、いいの?」

「何がぁ?」

「真島」

「何で、真島?」

「……好きなんでしょ?」


そう言ったあたしに依知菜は笑う。



「誰が、あんな奴!


いきなり避けてきたりしてさっ、竜なんて超自己中!
超バカだし、うざいし、アホだし…」



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