僕等は、それを恋と呼んだ。

キミの気持ち





名前を呼ばれた瞬間、あたしの心臓がはねた。



「り……笈原」


とっさに“利揮”と呼んでしまいそうになった。

…なんで、利揮がここに……?


…落ち着け、あたし。



「……真島は?」

「え?

ま、真島は戻ったけど…」

「そっか」

「うん…」



2人でこうして喋るのは、本当に久しぶりだ。



やばい。

なんか、手に変な汗かいてきた…。



「お、笈原どうしたの?
トイレ?」


目の前に立ったまま動かない利揮にあたしは言う。


「…違う」

「あ…そうなんだ。
じゃ、どうし―――」

「詩乃佳に話がある」


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