僕等は、それを恋と呼んだ。
「……」
――利揮の話を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。
そして、すぐに頭の中がぐちゃぐちゃになる。
あの日。
梨音ちゃんのお母さんが倒れたこと。
お世話になった梨音ちゃんのお母さん、
まだ小学生の弟、
滅多に弱音をはかないのに弱音をはいた梨音ちゃんを、
ほっとけることができなかったこと。
「…今、考えれば詩乃佳を連れてけば良かったんだ。
……詩乃佳を一人にしてごめん…」
梨音ちゃんの、
利揮を頼ってしまった気持ちが分かる。
きっと、あたしが梨音ちゃんの立場でも、
あたしは利揮に電話をしていた。