僕等は、それを恋と呼んだ。



「そっか」


利揮はニッと笑う。


――笑顔なのに、悲しい顔。



「俺、詩乃佳に言いたいこと言えて良かった。


うん。俺ら、友達にはなれるよな」

「……」

「ありがと、詩乃佳。

詩乃佳が幸せになれるの俺、祈ってる」

「……笈原、」

「じゃあ、俺、行くから。




―――ばいばい」



そう言って、利揮はあたしに背を向けて歩いてく。






利揮の背中が、ぼやけていく。


……これで、良かったはずだ。



じゃあ、何で。


あたしは、泣いているんだろう。


後悔しているんだろう。




“ばいばい”






………あたしは、最低で自己中で


大馬鹿ものだ。



< 259 / 304 >

この作品をシェア

pagetop