僕等は、それを恋と呼んだ。



そう望んだのは、あたし。


今すら付き合えないと言ったのは、あたし。



“矢田”


前はそう呼ばれてたのに。


慣れっていうのは怖いかもしれない。


いつのまにか、


利揮に“詩乃佳”と呼ばれることにあたしは慣れてしまってたんだ。



「おはよう」

「うん」


それだけ言って利揮は、自分の席にいく。



利揮が好き。

好きすぎる。



消えないよ、全然。



利揮を忘れて、前になんか進めないよ。



じゃあ、あたしは

どこに進むの。



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