僕等は、それを恋と呼んだ。
でも、あたしは分かる。
梨音ちゃんの気持ち。
利揮に連絡した梨音ちゃんの気持ち。
「笈原に聞いた。
…謝らないで…梨音ちゃんの気持ち、分かる…だから、梨音ちゃんは悪くない…」
「でも…」
「あたしこそ、バレンタインの時とか逃げちゃってごめんね」
「全然…!」
あぁ、やっぱり梨音ちゃんはいい子だ。
あたしなんかより、全然いい子だ。
「…あの、ね?
あたしがこんなこと聞くのは変だってこと…分かるんだけど、あの、
詩乃佳ちゃんは今も利揮のこと好き…?」
梨音ちゃんの真っすぐな視線にあたしは目を反らしたくなる。
でも、反らさない。
「好き。…すごく」