僕等は、それを恋と呼んだ。



「好きってことが、何よりも1番大切なことじゃねーの?」



――その言葉に、何故か涙が出そうになった。




あぁ、もしかしたら、

あたしは1番大切なことを忘れてたのかもしれない……。


「好き、なんだろ?
両思いなんだろ?
手放したくないんだろ?」



“好きだけど”


あたしはそう言ってばっか。



好き。


ただ、それだけじゃダメのかもしれない。




だけど、



“好き”



ただ、そのことが1番大切で1番大事で。




本当は、本当はあたし―――…




「…会いたい、利揮に……」



会いたい。


すごく、無償に今、利揮に会いたいと思った。



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