僕等は、それを恋と呼んだ。
―side 依知菜―






「依知菜っ、帰ろうぜ!」


玄関にいたあたしに、竜は走ってきてそう言った。



「今ね、詩乃佳が走っていったよ」

「おう。利揮のとこ行くって」

「そっか」


うれしくなって、あたしは笑う。


詩乃佳、うまくいくといいな…。



「なぁなぁ!


矢田達がうまくいったら…つーか絶対うまくいくからWデートしようぜ!依知菜の好きな遊園地!!!!」


そう言って竜は嬉しそうに笑う。



馬鹿でアホでうざくて、

コイツだけは絶対好きになんないって思ってたのになぁ…。



「やだ。

竜とは行かない」



< 280 / 304 >

この作品をシェア

pagetop