僕等は、それを恋と呼んだ。

恋と呼んだ。




学校を飛び出したあたしは、利揮の家へ走りだした。


いつも利揮と二人で自転車に乗りながら通った道を走る。


久しぶりに通った道に、懐かしい気持ちが込み上げてきて、また涙が出そうになった。



「……っ」


無我夢中で走った。



利揮に会いたい。

早く。



早く会いたい――………







「…ごめんね?

まだ利揮、帰ってきてないのよ」

「あ……そうですか」


いなかった。


まだ帰ってきてなかった。



勢いで来ちゃったけど、確かにまだ夕方だしね…。


寄り道でもしてるかもしれない。



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