僕等は、それを恋と呼んだ。



思わず利揮に手を伸ばした。


「詩乃佳、どうした?」

そう言って、伸ばしたあたしの手を利揮の手が触れる。



その利揮の手に涙が出た。



大きくて、暖かくて、優しい手。



「どうした?大丈夫か?」


少し屈んで、あたしの顔を覗きこむ利揮。




「……―――なの…」

「え?」



「…利揮が、好きなの…。」



どうしても。


どうしても。



あたしは、利揮が好きで仕方ない。



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