僕等は、それを恋と呼んだ。




「だから…俺、お前が好きになった」

「……」

「……」

「…え?」



数秒遅れであたしは答える。



お前が、好きになった…?


「お前って……誰?」

「は?お前だよ、お前」

「……。え?」

「…だから、お前。
矢田(やだ)が好きになったって言ってんの」



夕焼けの光を浴びて、オレンジ色した笈原が言った言葉の意味が分からなかった。






だって、あたしは笈原が好きで。


でも、笈原には白崎 梨音(しらさき りおん)ちゃんって言う可愛くてラブラブな彼女がいて。



……だから、あたしは笈原を好きでいちゃダメで。




でも、今。


笈原に"矢田(あたし)が好き"だと言われた。


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