僕等は、それを恋と呼んだ。



どうでもいい事でいい。


知りたい。

笈原が知りたいよ。



「どした?」



ムッとするあたしの頭をポンポン叩く笈原。


こういう優しさが、すごい好き。



一人占めしたい。



「笈原がバカだからアホなんだよー」

「いきなり、けなされたよ、俺。無罪なのに」



笈原が悪いわけじゃない。


梨音ちゃんが、嫌いなわけでもない。


だって、梨音ちゃんは、
可愛くて自分を持っていて真っ直ぐで優しくて、すっごい良い子。



だからこそ、
こんな風に小さいことを気にしちゃう。



そんな素敵な梨音ちゃんが、あたしより笈原を知ってるんだと思うと嫌。


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