僕等は、それを恋と呼んだ。
好きで仕方なくて。
でも、苦しくてどうしようもなくて。
諦めたいのに諦められなくて。
…やっと、諦める決心がついたのに……。
「……ははっ。笈原ったら面白い冗談言うね」
涙は、瞳まで込み上げてきていた。
少しでも気をぬいたら、重力のままにその雫は溢れて落ちてしまいそうだった。
……期待なんかしちゃいけない。
もう、嫌と言う程あたしはわかってる。
頭を撫でてくれた手に、優しい笑顔に言葉に、
あたしは何度も期待して、傷付いてきたんだ。
「矢田」
そう呼んだ声に、ドクンと胸が鳴る。