僕等は、それを恋と呼んだ。
こんな風に、梨音ちゃんとも笑いあったのかな。
この先、他の人とこうやって笈原が笑うことはあるのかな。
そんな事を考えて、不安になっちゃうんだ。
笈原を、知りたい。
知っていくたびに、
どんどん好きになる。
それと同時に、どうしようないヤキモチが生まれるんだ。
「詩乃じゃん!」
「……あ、何だ湊か。久しぶり」
金曜日。
ぼけーっとしながら1人で廊下を歩いてると、
同中の湊(みなと)に会った。
「おい、あからさまな溜め息つくなよ。
俺、地味に傷つくし」
「…はぁ」
わざと、あたしは溜め息をつく。