僕等は、それを恋と呼んだ。




真剣な顔をするから視線が反らせない。



逆ギレ気味な、さっきまでとは違う。




「……お前は…、俺のことを友達としか思ってないけど。

俺は……矢田が好きだ」



“好きだ”

そう言葉が、あたしに届いた。




胸が苦しい。



「……り、梨音ちゃんとは…別れたの…?」

「うん。2週間くらい前に別れた」

「……」



知らな…かった。




確かに、あたしはここ1ヶ月くらい笈原を避けていた。


長い片思いの終わりをつげるために、ちゃんとふっ切れるために避けていた。




でもね。


避けていたけど…



梨音ちゃんといる笈原をあたしは見た。


だから、別れたなんて知らなかった。



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