僕等は、それを恋と呼んだ。
うーんと二人して看板の前で悩む。
うーん。
やっぱ、恋愛系?
確か、この恋愛映画、依知菜が“感動したー”とか言ってたなぁ。
笈原は、恋愛映画苦手ってタイプじゃないし。
「笈原、これ感動するって言ってた」
「んじゃ、それにするか」
「うん、そうする」
「よし、決まりな」
ニカッと笑って、チケットを買いにいく笈原。
「ん、チケット」
二枚買ったチケットの、一枚をあたしにさしだす。
「あ、ありがと!はい」
チケットを受け取り“はい”と、お金を差し出すと笈原はキョトンとした顔をした。
「いらねぇよ」
「いや、でもチケットのお金…」
「いや、奢るし」