僕等は、それを恋と呼んだ。



ずるい、笈原。



…そんな風に言われたら、あたし払えなくなるじゃん…。



「…何、ムーッとしてんだよ」


ムーッとした顔してると、頬をつねられる。



「…だって」

「うーん。ならさ、ジュース。矢田は俺にジュース奢ってよ。な?」



相変わらずあたしの頬をつねりながら、あたしと同じ目線まで屈んだ笈原は、

そう言ってニッコリ笑う。



本当にずるい。


映画代とジュース代なんて1000円以上違うじゃんか…。



ジュースなんて、たかが200円ぐらいじゃん……。


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