僕等は、それを恋と呼んだ。



「いーよ」


少し抱きしめる腕を緩めて、笈原はコツンと自分のおでこをあたしのおでこにくっつける。



「……」

「……」



絡んだ視線に、息が止まる。


ドキドキ、やばい。




「……矢田」



そう言った笈原の低い声が、優しくて。


そう言った笈原の顔がいつもよりかっこよくて。



ゆっくりと近づいてきた顔にあたしも目を閉じた。







初めての笈原とのキスは、少しだけ緊張で震えて何だか色んな感情が混ざってて頭の中が無茶苦茶で。




でも笈原の温かさは、すごく心地よかった。



< 85 / 304 >

この作品をシェア

pagetop