アリスズc
∠
ハレとは別の意味で。
オリフレアと二人きりになった部屋で、テルは彼女を振り返った。
「そこに、手紙がある…読んでくれ」
言葉で説明すると、おそらくオリフレアは途中で何度も口を挟んでくるだろう。
だからテルは、書いておいた手紙を読ませることにした。
「これ、テルの書いた手紙じゃない…何でこんなまどろっこしい…」
ぶつぶつ言いつつ彼女は紙を広げ、そして、黙り込んだ。
表情が変わっていくのを、じっと見ていた。
テルは、じっと、じっと見なければならなかったのだ。
オリフレアは──傍系だった。
母が、旅を成功させたイデアメリトスだったから、彼女にも旅の権利があっただけで。
いや、本当ならばなかった。
ないものを、父の力がありにしただけなのだ。
そんな複雑な血を持つ彼女は、自分の母を憎み、そして手のつけがたい癇癪も持っている。
要するに。
テルは。
オリフレアという存在を、危険視したのだ。
普通であれば、そんな心配はしなかっただろう。
だが、傍系の反逆者が出た今、オリフレアがそちら側に行ってしまう危険性もある。
もし、彼女が向こう側に行けば、これから彼女との殺し合いの旅になる可能性が高いのだ。
テルは、オリフレアを見た。
手紙を読み終わった彼女が、顔を上げ──テルを見るその目を見た。
青ざめてなどいない。
それどころか、獲物を見つけた猛獣の色をたたえ始めた。
「テルの考えてることなんか、分かってるわよ」
癇癪を持っているが、オリフレアは馬鹿ではない。
「私に…直系側にいて欲しいんでしょ?」
主導権を握ったとばかりに、彼女は口元に笑みを浮かべる。
ふぅと、テルはため息をついた。
「勘違いするな…」
その主導権に、テルは片手をかけ。
「傍系側に行ったら、俺がお前を全力で倒す、と言ってるんだ」
自分の方へと、ぐいと引き戻したのだった。
ハレとは別の意味で。
オリフレアと二人きりになった部屋で、テルは彼女を振り返った。
「そこに、手紙がある…読んでくれ」
言葉で説明すると、おそらくオリフレアは途中で何度も口を挟んでくるだろう。
だからテルは、書いておいた手紙を読ませることにした。
「これ、テルの書いた手紙じゃない…何でこんなまどろっこしい…」
ぶつぶつ言いつつ彼女は紙を広げ、そして、黙り込んだ。
表情が変わっていくのを、じっと見ていた。
テルは、じっと、じっと見なければならなかったのだ。
オリフレアは──傍系だった。
母が、旅を成功させたイデアメリトスだったから、彼女にも旅の権利があっただけで。
いや、本当ならばなかった。
ないものを、父の力がありにしただけなのだ。
そんな複雑な血を持つ彼女は、自分の母を憎み、そして手のつけがたい癇癪も持っている。
要するに。
テルは。
オリフレアという存在を、危険視したのだ。
普通であれば、そんな心配はしなかっただろう。
だが、傍系の反逆者が出た今、オリフレアがそちら側に行ってしまう危険性もある。
もし、彼女が向こう側に行けば、これから彼女との殺し合いの旅になる可能性が高いのだ。
テルは、オリフレアを見た。
手紙を読み終わった彼女が、顔を上げ──テルを見るその目を見た。
青ざめてなどいない。
それどころか、獲物を見つけた猛獣の色をたたえ始めた。
「テルの考えてることなんか、分かってるわよ」
癇癪を持っているが、オリフレアは馬鹿ではない。
「私に…直系側にいて欲しいんでしょ?」
主導権を握ったとばかりに、彼女は口元に笑みを浮かべる。
ふぅと、テルはため息をついた。
「勘違いするな…」
その主導権に、テルは片手をかけ。
「傍系側に行ったら、俺がお前を全力で倒す、と言ってるんだ」
自分の方へと、ぐいと引き戻したのだった。