アリスズc
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「この国広しとは言えど…イデアメリトスの命を奪った人間は、生きている中ではお前たちだけかもしれんぞ」
そんなテルの暗いジョークは、エンチェルクを明るくすることはなかった。
反逆者とは言え、イデアメリトスを殺したのだ。
とどめを、テルは彼女に申しつけた。
日本刀の方が、その仕事に向いている──それだけだったのかもしれない。
だが、今更ながらに彼女は、その事実の大きさを噛みしめていたのだ。
「いえ…それはないのでは」
ビッテは、エンチェルクほどの衝撃はないのか。
テルのジョークに、反論している。
他にも、イデアメリトスを殺した人間がいるというのだろうか。
「ああ、父上の兄か。確かに、伯父を殺した者は、まだ生きているかもしれんな…英雄扱いで」
そうだ。
現太陽には、兄がいて。
そして、旅を失敗したのだ。
殺した者が英雄扱いということは、月の人間に殺されたのだろうか。
「そういえば…」
テルが何かを言いかけて、ふと、止まった。
その止まり方が、何か大きな衝撃を受けたもののように見えて、エンチェルクは怪訝に思った。
突然。
「ああ、そうか…そうか、それなら面白い」
テルが、大笑いを始めた。
夜空に向けて身体をのけぞらせるように、全身で笑い出す。
叔母の死で、あのテルがおかしくなったのではないかと心配するほど。
だが。
そんなタマでは、なかった。
テルという男は、そんな柔らかい男ではなかったのだ。
「でかしたぞビッテ…そうかもしれん。それが一番しっくりくる」
何かに、気づいた。
それだけは、エンチェルクにも分かったが。
テルの考えることは、彼女の想像では──とても追いつくことは出来なかった。
「この国広しとは言えど…イデアメリトスの命を奪った人間は、生きている中ではお前たちだけかもしれんぞ」
そんなテルの暗いジョークは、エンチェルクを明るくすることはなかった。
反逆者とは言え、イデアメリトスを殺したのだ。
とどめを、テルは彼女に申しつけた。
日本刀の方が、その仕事に向いている──それだけだったのかもしれない。
だが、今更ながらに彼女は、その事実の大きさを噛みしめていたのだ。
「いえ…それはないのでは」
ビッテは、エンチェルクほどの衝撃はないのか。
テルのジョークに、反論している。
他にも、イデアメリトスを殺した人間がいるというのだろうか。
「ああ、父上の兄か。確かに、伯父を殺した者は、まだ生きているかもしれんな…英雄扱いで」
そうだ。
現太陽には、兄がいて。
そして、旅を失敗したのだ。
殺した者が英雄扱いということは、月の人間に殺されたのだろうか。
「そういえば…」
テルが何かを言いかけて、ふと、止まった。
その止まり方が、何か大きな衝撃を受けたもののように見えて、エンチェルクは怪訝に思った。
突然。
「ああ、そうか…そうか、それなら面白い」
テルが、大笑いを始めた。
夜空に向けて身体をのけぞらせるように、全身で笑い出す。
叔母の死で、あのテルがおかしくなったのではないかと心配するほど。
だが。
そんなタマでは、なかった。
テルという男は、そんな柔らかい男ではなかったのだ。
「でかしたぞビッテ…そうかもしれん。それが一番しっくりくる」
何かに、気づいた。
それだけは、エンチェルクにも分かったが。
テルの考えることは、彼女の想像では──とても追いつくことは出来なかった。