アリスズc
∞
「ただいま、桃」
ぴょんぴょん身軽に跳ねながら、コーが帰ってくる。
ここしばらく、太陽妃のところに行ったきりだった彼女は、上機嫌そうに見えた。
「おかえり、コー。いいことでもあった?」
母からもらった紙とにらめっこしていた桃は、眉間のシワを伸ばしながら友人を見る。
「うん、卵が産まれたの!」
両手の指でまあるいわっかをつくって、コーは嬉しそうに説明する。
ああ。
都に戻って、ソーには妻が出来たのだ。
コーが仲良くしているメスの尾長鷲。
人間には狩られることはあっても、野生の動物の中では強いその種は、多くの卵を産まないという。
今回も、2つしか卵はないらしい。
「ああ…私も早く卵が産みたいなあ」
うっとりとした声でコーがとんでもないことを言うものだから、桃はぶっと吹いてしまった。
すると、彼女はにこっと笑う。
「大丈夫、私が産むのは卵じゃなくて赤ちゃん。でも、卵を温める姿は、ちょっと羨ましいな」
ちゃんと分かってるよと言っているのだろうが、桃は内心複雑だった。
何というか。
コーは、見る度に艶が出てきている。
色気が増しているというか。
女性として成熟して、子孫を残したくて仕方がない繁殖期の動物に近い気配がするのだ。
ハレがいるからそうなのか、彼女の中の動物的部分がそうさせるのかは分からない。
「コーは、ハレイルーシュリクス殿下の子どもを産むの?」
つい。
直接的に聞いてしまった。
コーに、回りくどい言葉は無駄なのだ。
すると。
「一番最後の歌を覚えたら…子ども作っていいってお父さんが言ってくれたの」
彼女は、ぽぉっと頬を染めた。
あー。
何というか。
あのトーにして、このコーありというか。
動物的な父娘な関係を、良好に維持しているようだった。
「ただいま、桃」
ぴょんぴょん身軽に跳ねながら、コーが帰ってくる。
ここしばらく、太陽妃のところに行ったきりだった彼女は、上機嫌そうに見えた。
「おかえり、コー。いいことでもあった?」
母からもらった紙とにらめっこしていた桃は、眉間のシワを伸ばしながら友人を見る。
「うん、卵が産まれたの!」
両手の指でまあるいわっかをつくって、コーは嬉しそうに説明する。
ああ。
都に戻って、ソーには妻が出来たのだ。
コーが仲良くしているメスの尾長鷲。
人間には狩られることはあっても、野生の動物の中では強いその種は、多くの卵を産まないという。
今回も、2つしか卵はないらしい。
「ああ…私も早く卵が産みたいなあ」
うっとりとした声でコーがとんでもないことを言うものだから、桃はぶっと吹いてしまった。
すると、彼女はにこっと笑う。
「大丈夫、私が産むのは卵じゃなくて赤ちゃん。でも、卵を温める姿は、ちょっと羨ましいな」
ちゃんと分かってるよと言っているのだろうが、桃は内心複雑だった。
何というか。
コーは、見る度に艶が出てきている。
色気が増しているというか。
女性として成熟して、子孫を残したくて仕方がない繁殖期の動物に近い気配がするのだ。
ハレがいるからそうなのか、彼女の中の動物的部分がそうさせるのかは分からない。
「コーは、ハレイルーシュリクス殿下の子どもを産むの?」
つい。
直接的に聞いてしまった。
コーに、回りくどい言葉は無駄なのだ。
すると。
「一番最後の歌を覚えたら…子ども作っていいってお父さんが言ってくれたの」
彼女は、ぽぉっと頬を染めた。
あー。
何というか。
あのトーにして、このコーありというか。
動物的な父娘な関係を、良好に維持しているようだった。