アリスズc
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それは、まるで棺のようだった。
石で作られた直方体。
だが、一番の特徴は、洞窟に置かれているわけではない、こと。
床の石と、完全につながっているのだ。
最初から、この形を作るために掘られているのだ。
まるで。
ハレは、思った。
まるで、イデアメリトスの玉座のようだ、と。
宮殿にある玉座も、床の石とひとつになっている。
まったく違う歴史を持つはずの太陽と月の、ささやかな共通点。
トーが、ゆっくりと石の蓋をずらす。
中は、不思議なものだった。
いろいろな原石の結晶が、内側に向かって飛びだしているのだ。
それらが、暗がりでも小さくキラキラと光っている。
まるで、夜空をまたたく星のように。
「寝心地が悪そうだな」
テルの苦笑混じりの感想が、それだった。
下手に飛びこむと、結晶を壊すか自分の身を傷つけてしまいそうだ。
「さて…」
弟は、場の中とハレたちを交互に見まわす。
来たなと思った。
テルは、この国を愛している。
それは、責任のある立場として、という意味で。
そのため、決してトーたちの魔法の力を甘く見てはいない。
ハレも、自分の一生の約束は出来たとしても、100年先の約束は出来はしないのだ。
「ハレ…お前は、俺と父母とイデアメリトスを永遠に裏切らないか?」
テルは、不思議な質問をした。
『永遠に』
異様な言葉だったのだ。
永遠などという時間は、この世にはない。
少なくとも、ハレの寿命が普通の人間と大差があるわけではないのだ。
だが、この父娘は違う。
トーが、いま本当は何歳なのか、誰も知らない。
無茶な魔法の使い方をしない限り、彼らの老いはとても遅いのだから。
テルの真意は計りかねるが、彼らのその長寿を気にしての『永遠』という言葉のように感じたのだった。
それは、まるで棺のようだった。
石で作られた直方体。
だが、一番の特徴は、洞窟に置かれているわけではない、こと。
床の石と、完全につながっているのだ。
最初から、この形を作るために掘られているのだ。
まるで。
ハレは、思った。
まるで、イデアメリトスの玉座のようだ、と。
宮殿にある玉座も、床の石とひとつになっている。
まったく違う歴史を持つはずの太陽と月の、ささやかな共通点。
トーが、ゆっくりと石の蓋をずらす。
中は、不思議なものだった。
いろいろな原石の結晶が、内側に向かって飛びだしているのだ。
それらが、暗がりでも小さくキラキラと光っている。
まるで、夜空をまたたく星のように。
「寝心地が悪そうだな」
テルの苦笑混じりの感想が、それだった。
下手に飛びこむと、結晶を壊すか自分の身を傷つけてしまいそうだ。
「さて…」
弟は、場の中とハレたちを交互に見まわす。
来たなと思った。
テルは、この国を愛している。
それは、責任のある立場として、という意味で。
そのため、決してトーたちの魔法の力を甘く見てはいない。
ハレも、自分の一生の約束は出来たとしても、100年先の約束は出来はしないのだ。
「ハレ…お前は、俺と父母とイデアメリトスを永遠に裏切らないか?」
テルは、不思議な質問をした。
『永遠に』
異様な言葉だったのだ。
永遠などという時間は、この世にはない。
少なくとも、ハレの寿命が普通の人間と大差があるわけではないのだ。
だが、この父娘は違う。
トーが、いま本当は何歳なのか、誰も知らない。
無茶な魔法の使い方をしない限り、彼らの老いはとても遅いのだから。
テルの真意は計りかねるが、彼らのその長寿を気にしての『永遠』という言葉のように感じたのだった。