【短編】 曇り空
白で統一された室内
微かにする薬品の匂い
そして
窓際に向かって備え付けられた
木製の大きな机には
白衣を着た彼女がいた
「どうしましたか?」
振り向く彼女は
初めて会ったときよりも
白衣に包まれて
華奢で小柄で少女のように見えた
「あ・・・の。」
口ごもる俺を見て
彼女の表情は明らかに変わった
「なんだ、お前か。」
そう言ってまた机に向きかえった
可愛らしい少女のような彼女にからは
想像もつかないような冷静でワントーン低い声
大人の遊びなれた女のよう
「具合でも悪いの?」
俺を見ないで彼女は話した
「少し・・・頭が痛くて。」
近くの椅子に座りながら俺は言う
「仮病で保健室に来るなんて百万年早い。」
バレバレっすか・・・
通じないと分かっていて俺は
病気な生徒のふりを止めた
「先生こそ、その二重人格は何なんですか?」
彼女はゆっくり振り返った
不敵な笑みを浮かべている
「言うねぇ・・・。柏原君?」
真っ直ぐ俺の瞳を見る
俺は反射的に目をそらした
「輝きを失わない強い瞳だな。
柏原らしいよ。」
俺の中の何かがそこで弾けた
灰色の瞳は
一番嫌いだ
なのに
それを
彼女は言った
“俺らしい”と・・・・
微かにする薬品の匂い
そして
窓際に向かって備え付けられた
木製の大きな机には
白衣を着た彼女がいた
「どうしましたか?」
振り向く彼女は
初めて会ったときよりも
白衣に包まれて
華奢で小柄で少女のように見えた
「あ・・・の。」
口ごもる俺を見て
彼女の表情は明らかに変わった
「なんだ、お前か。」
そう言ってまた机に向きかえった
可愛らしい少女のような彼女にからは
想像もつかないような冷静でワントーン低い声
大人の遊びなれた女のよう
「具合でも悪いの?」
俺を見ないで彼女は話した
「少し・・・頭が痛くて。」
近くの椅子に座りながら俺は言う
「仮病で保健室に来るなんて百万年早い。」
バレバレっすか・・・
通じないと分かっていて俺は
病気な生徒のふりを止めた
「先生こそ、その二重人格は何なんですか?」
彼女はゆっくり振り返った
不敵な笑みを浮かべている
「言うねぇ・・・。柏原君?」
真っ直ぐ俺の瞳を見る
俺は反射的に目をそらした
「輝きを失わない強い瞳だな。
柏原らしいよ。」
俺の中の何かがそこで弾けた
灰色の瞳は
一番嫌いだ
なのに
それを
彼女は言った
“俺らしい”と・・・・