短編集
立てない
立てない











「イシカワ先輩、ヒロのこと狙ってるんだってよ」

気をつけな。
サオリは面白そうに私を見た。

その話は初めて聞いた話じゃない。ちょうど一週間前に、今サオリの向かいに座っているリナが、サオリと同じような表情で私に言った。

「「ねえ、ヒロはどうなの?」」

サオリとリナが口を揃える。私はショーコに助けを求めようとしたけど、ショーコは文庫本片手に黒いコーヒーを飲んでいた。


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