短編集

 緩やかな下り坂を、一歩一歩踏みしめて下りて行く。曇り空で太陽は見えないが、頭を垂れた無数の向日葵が道の両側から私を見ている。悲しくて、悔しくて、後ろめたくて、だからうつ向いて歩く。

 乗用車が一台、坂を上って来た。聞き慣れたエンジン音で誰の車かは解ったけれど、うつ向いたまますれ違う。アスファルトの上に落ちる水滴は、私の目から溢れたもの。だけどすぐに乾いてしまう。後腐れ、なく。

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