短編集
 憬子に言わせれば、大学は同じ、あるいは似通った、もしくは何か通ずる目的を持った人が集う場で、そこで出会うことはどこか必然的だそう。
「でもね、幼なじみは」
 その地域で、その時に同じ時間を過ごすのに、私たちに意思決定の権利はない。

「そして、恋人との結びつきは、もっと、もっと運命的なんだよ」

 記憶の糸を手繰る。あの時の電話で、憬子は何を伝えたかったのか。


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