短編集


  ドライバーはあるかい
  歯車はどこで手に入るんだい


「新しいものを見つけたよ」
 と、わたしの好きな詩人の名を挙げた。かつて発行された詩集から何篇かを抜粋し、画家が挿絵を加えたという。
「プレゼントしよう」
 わたしは頷いた。あなたからの贈り物はいつも唐突で、あなた好みの品だった。予告をされたのは初めてだった。

「あ、忘れた」
 そしてあなたは困った顔で笑うようになった。
「また今度、な」
 と。

 書店でそれを見かけた。美しい装丁の施された、小さな本だった。これが滑らかな紙に包装され、わたしの手元に来るのだ。
 それまで中身は見るまいと、わたしは心に小さな誓いを立てた。楽しい我慢だった。
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