ナンセンス!
店内は、かなり広い。
( ドコにいるんだ? アイツ・・・ )
台の間をウロウロしていると、前から店員が来た。 僕を見ると、びっくりしたような表情をし、インカムで何か話している。
「 ? 」
この店では、ヤツは、有名人なのか? プロ、指名手配になってたりして・・・
やがて数人の、イカツイ顔をした店員が、数名、向こうから走って来た。 どうも、今の応援要請で駆けつけた、という感じである。 ・・・何の・・・? 客で込み合った狭い通路を、どちらかと言えば、弾き飛ばすような勢いで彼らはやって来る。
「 ? ? ? 」
やがて、そのうち一番デカイ体をした店員が、僕の方に手を伸ばし、殺気立った目をギラギラさせ、走り寄りながら言った。
「 ・・お、お、お・・ お客様、少々こちらへ・・・! 」
言葉使いは静かだが、ただ事ではない雰囲気が感じられる。
伸ばされた、その手からは『 野郎、逃がすかあァ~ッ! 』という殺気、ムンムンだ。
・・・健一、お前・・ ココで、ナニしたの・・・?
その男の、尋常ではない殺気に不安を感じた僕は、本能的に逃走を図った。 一目散に、入り口へ向かい、外の歩道に出る。
後ろを振り返ると先程の男たちが、更に凶暴な表情に豹変し、出入り口から踊り出て来た。
「 てンめえエ~ッ! また、ノコノコ来やがって、ナメとんのか、ゴルァ~ッ!! 」
店内とは打って変わって、巻き舌の口調。 大魔人のような豹変ぶりである。
・・・大魔人様、僕、何にもしてないんだケド?
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