ナンセンス!
大魔人は、言った。
「 ガキのクセして、マグネット使うたあ、いい度胸してんじゃねえか! おおっ? 」
・・・健一。
「 大人の世界の厳しさ、教えたるさかい、覚悟せえや! 」
・・・結構です。
これは、逃げるしかない。 こいつら、タダの店員と違うわ。 その顔と蝶ネクタイ、全然ミスマッチだし。
僕は、走った。
例によって、路地裏大作戦である。
おあつらえ向きに、ゴミ箱やビールケースが、僕に、ひっくり返して欲しいな~、と言うように、置いてある。 全てを、完璧にひっくり返しながら、僕は走った。
「 ちくしょう! アホ健! 何で、お前の尻を、僕が拭かにゃならんのだッ・・・! 」
ヤバイ事になっとると言うのは、この事だったのか! 確かに、ヤバイわ・・・!
捕まったら、丸太抱えて、隅田川遊泳かな? それとも、東南アジア辺りに飛ばされて、ヤクの密売人にされるのかな? ・・・脅威の世界だ。 死んでも、絶対見たくない。
僕は、先日の記憶を彷彿させながら、路地裏を逃走した。
( ・・ちくしょうっ! また、この風景か・・・! )
どこまでも続く、薄暗い路地裏。
僕、17歳なのに、何で、ヤクザの鉄砲玉の末路みたいな経験ばっかりせにゃならんの?
僕の青春を返せ・・・!
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