ナンセンス!
初体験

1

レンガ造りの校門が見える。
両脇には、磨りガラスがはまった警備員室のような建物があり、歴史を感じさせる趣だ。 さすが、私学の名門高。 校門から校内に入っていく生徒たちの顔も、どことなく知性的である。
( こんな名門に、この僕が登校すんのか・・・ )
何か、ヘンな気分だ。 怪しげなクラウンで送られているのも、尚更、その心境に拍車を掛けている。
「 どけ、田中! 轢くぞ 」
サブが、知人らしき生徒にクラクションを鳴らす。
< ファア~~~~~~~ンンン~~~~・・・ >
見事な、アメリカンホーン。 ヤンキー乗ってますよ~、と言わんばかりの逸品ホーンである。
サブは校門の真ん前に、前輪をこれでもか、というくらいに、ギシッとひねって、怪しげクラウンを横付けした。
・・・すんげえ、目立つ。
ここで降りろってか? おい。 注目度、激ヤバくらいあるぞ? もうちょっと、あっちの目立たないトコで、こじんまりと降りないか? なあ、サブ君や・・・?
サブは運転席から降りると、後部座席のドアをうやうやしく開けた。
「 お疲れ様です、会頭 」
朝イチから、『 お疲れ様です 』なんて言うな。 会社員か、お前は。
しかし・・・ ここは一つ、覚悟を決めねばなるまい。 なんてったって僕は、泣く子も黙る、鬼龍会の会頭 星野 みちる、その人なのだ。 中身は、全然違うケド・・・

開けられたドアから足を出し、僕は、凛と校門前に立った。
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