ナンセンス！

｢ 結構、きれいな人ね・・・ ｣
かすみが、僕を見ながら言った。
歩道を歩きながら、僕は答える。
｢ 健一の、担任かどうかは、分からないけど・・・ 教育熱心な先生だよ？　健一として、説教されたよ ｣
｢ ・・・スタイルも、良いし・・・ ｣
｢ 繁華街の外れの、マンションに住んでるよ。 サバラスに記憶凍結された健一と、僕の体と共にね ｣
｢ 洋服のセンスも、良さそう・・・ ｣
｢ ・・・・・ ｣
｢ 軽く、ファンデ、つけてるだけなのに、きれいな顔・・・ ｣
｢ ・・・・・ ｣
｢ ・・・今日、お風呂・・ 入るの？ ｣
ナンで、話題をソッチに振るっ！
何なら、目隠しで入るから、かすみが洗ってくれよ！　・・・何かまた、ヤバそうな絵になるよ～な気が、するんだが・・・？
僕は言った。
｢ 今日は、入らない！　サバラスの話しだと、明日、再開するそうだ。 一日くらいフロに入らなくたって、死にゃしないだろう ｣
｢ ダメよ、みちる！　女の人は、神経質なんだから。 入ってあげないと、可哀想よ、先生。 ・・・でも、やっぱりヤメとこうか？ ｣
ドッチなんだよ、かすみ。
かすみは続けた。
｢ じゃあ、あたしが、濡れタオルで体を拭いてあげる！　それなら、いいでしょ？　もちろん、みちるは、目隠ししてね？ ｣
・・・通夜に、喪主が亡くなった人の体を、拭く図みたいだな・・・
しかも、傍らには・・ 健一と、ヘンな格好のまま固まった、僕の体もあるんだぞ？　恐怖の、蝋人形館みたいじゃねえか・・・
まあ、かすみの気が済むんなら、僕は構わんが、何か・・ ヤだな。
とりあえず、僕らは、美津子先生のマンションに戻る事にした。