ナンセンス!
   「 ・・・・・ 」

体は、何とも無い。
目の前に、手を組んだままの、かすみがいる。 じっと、僕を見ている。
・・・どうなんだ? 元に戻ったのか? 僕・・・!
星野も、じっと僕を見つめている。
・・・ねえ、どうなの? 僕、元に戻ってる・・・?
星野が、ぼそっと、言った。
「 ・・・お前・・・ 誰だ? 」
「 ! 」
星野が、知らないっ・・? そんな・・ そんなぁ~ッ・・!
胸で、手を組んでいたかすみは、ゆっくりと手を上げると、口を押さえ、驚愕の表情で言った。
「 ・・そんな・・・ 」
何? 何っ? そんなに、ヒドイの? 僕。
僕は、自分が着ている服装を見た。
・・・ジャージだ。
と言う事は、人間だ。 とりあえず、安心した。
サバラスを、振り返る。
ヤツは、妙にアセっている。
「 ・・え~・・ え~と・・ やあ? 元気? 」
先回と、同様のうろたえようだな? キサマ・・・!
僕は、星野の執務机の引出しから、手鏡を出した。
サバラスが言う。
「 ・・あ・・ え~と・・ 見るのかな? 見るのかな~・・・? 」
当然だろ、ボケ。 見たくはないが、見なくてはならない。 多分、恐ろしい事になっているようだ・・・!
僕は、手鏡を見た。

そこには、あのヒゲ親父が映っていた・・・

「 ・・・・・ 」
手鏡を持つ手を、プルプルと震わす、僕。
サバラスが言った。
「 え~・・ 次回は、また明日という事で・・・ だめ・・・? 」
・・・やはり、やめておけば良かった。 よりによって、ヒゲ親父だとォ~・・・?
僕は、震える手で、手鏡を執務机の上にコトリと置くと、サバラスを振り向き、あのダミ声で叫んだ。
「 やりやがったなあァ~ッ、サバラスぅ~ッ・・! すぐに、元に戻せッ! 今すぐだ、ゴルアァァ~ッ! 」


       〔 ナンセンス! ・ 完 〕
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