ナンセンス!
僕は、胸に触ってみた。
・・・心臓に、稲妻が走った。
小さいながらも、胸が膨らんでいる。 しかも、めっちゃ軟らかい・・・!
当然、股間に、手をやる。
ブッと、歯磨き粉のアワを噴出す、僕。 ・・・無いっ! 僕の、大切な竿が無いっ!
まだ、一回も使ってないのに! そんなあァ~・・・!
がっくりと、洗面所の流しに両手を突き、しばらく僕は、歯ブラシをくわえたまま、
放心状態になった。
( 一体、何があったんだ・・・?
  何で、朝起きたら、女になってんだよ・・・!
  昨日、何かヘンなもんでも食ったのか?
  ・・・いや、食い物なんかで性別が変わったら、学会がひっくり返るわ。
  そんな単純な事じゃない・・・! どうしよう )
ちらりと、鏡を見る。
見覚えの無い女性の顔が、やはり、こちらを見ている。
( 落ち着け・・・! 落ち着くんだ。 まず、体自体には、異常は無い。
  手足もあるし、五体満足だ。 うん、ちゃんとツメも切ってあるようだし・・・ )
僕は、足先の指などを動かして、ちゃんと機能するか、確認し出した。
首も回る。 背中も大丈夫。 腕も動く。
( 異常なのは、性別が違うだけか・・・ )
そこンところが、一番重要なのだが、あまりに不具合無く、あまりに自然な為、
どうもピンと来ない。
僕は、歯磨き粉を洗い流すと、改めて、鏡を見つめた。
よく観察すると、年齢は、僕と同じくらいらしい。
涼しげな目元に、すっきりした小顔の、わりと美人である。
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