ナンセンス!

2

今度は、サバラスが質問して来た。
「 生活用品を移し変える時に、色々と、摩訶不思議なモンを見つけてね・・・ 」
僕にとっては、お前さん自体が摩訶不思議だわ。
サバラスは、ヘヤードライヤーを手に取り、言った。
「 コレは、何かね? 」
「 ドライヤーじゃん 」
「 それは、用務員より偉いのかね? 」
「 ・・・・・ 」
どっから、そんな発想が出て来る・・・? 健一よりヒドイな、お前。 ワケ分からんぞ?
僕は、説明する。
「 髪の毛を、乾かす機械だよ。 まあ、お前には無いから、分からないのも納得出来るがな 」
コンセントにプラグを指し込み、スイッチを入れる。
ブイイ~ン、と温風が出始めた。
「 おおっ、これは珍しい! 」
サバラスは、いたく喜んだ。
温風をサバラスに当てながら、僕は続けた。
「 温風を当てて暖めると、早く乾くんだ 」
すると、何と・・ サバラスが、小さくなっていくではないか!
「 おお~う・・! これは、気持ち良い。 極楽、極楽じゃあ~・・・ 」
「 お、おいっ! お前、縮んでいくぞっ? ど・・ どうなってんだ? 」
あっという間に、身長10センチくらいの、卓上マスコット人形のように縮んだサバラスが答える。
「 我々は、気持ち良いと、縮むのだ 」
・・・ナンじゃ、そら。 もっと、分かりやすい感情表現をせんか。
次第に、元の大きさに戻るサバラス。
「 ふうう~・・・! いい気持ちだった。 みやげに、そいつをくれ 」
「 コレは、星野のだ。 元に戻ったら、買ってやるよ。 安物だったら、1500円くらいで売ってるし 」
「 それは、楽しみな事だ。 ・・・して、これは? 」
タンスの中から、小さく丸めた布のようなものを取り出す、サバラス。
何となく、分かった・・・ パンツだ。
引き出しの中には、淡いピンクやボーダー模様のものが、幾つも丸めて入れてある。
魅惑の世界だ。 健一が見たら、狂喜乱舞するに違いない。
「 コレについては、お前は、知らんでいい・・! 」
僕は、サバラスからパンツをひったくると、タンスにしまった。
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