ナンセンス!

2

翌朝。
体は、何とも無かった。
もしかしたら、元に戻っているのでは? という儚い僕の希望は、床で寝ている見苦しいサバラスの姿を確認すると同時に、露と消えた。 昨晩、僕に弾かれて転がったまま、
寝てしまったらしい。 机の下で、頭を下にし、不自然な体勢で、寝ている。
「 起きろ、サバラス。 はよ仕事せんか、お前 」
サバラスが答えた。
「 うう~ん・・・ もう、どうでも良いじゃ~ん・・・? もっかい、ドライヤーやって~・・・ 」
・・・キサマ、それが本音だな? あ? コラ。
僕は、寝ボケ顔のサバラスの耳元で、優しくささやいた。
「 ねえぇ~ん、サバラスぅ~ 今日は、どこかに連れてってよおぉ~ん 」
「 んん~・・・? アンドロメダ辺り、行くかあ~? 人間の2人くらい・・ どうなろうと、まあ、コッチにゃ、カンケーないしね・・・ ん? 」
やっと、正気に戻ったようだが、もう遅い。
「 ほっ、星川クン・・! おはようっ! ・・い、今、私・・・ ナンか、言ってたかね? 」
はい。 しっかりと、聞かせて頂きました。 ありがとう。
僕は、ドライヤーのスイッチを入れ、サバラスに当てた。
「 ・・お、おお~・・・! 」
次第に小さくなっていく、サバラス。
手頃な5センチサイズまで小さくすると、壁に立て掛けてあった金属バットを手に取る。 窓を開け、サバラスを宙に放り投げると、スパーンと、ノックした。
朝の清々しい空気の中、サバラスは、くるくると回転しながら、どこかへと飛んで行った。
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