ナンセンス!

3

有堂と入れ替わりに、朝倉が、一人の女生徒を部室に連れて来た。
濃紺のセーラー服を着ている。 ・・・他校に潜入している、ウチの生徒か?
「 会頭。 因幡大学付属女子の生徒会長、戸村 早苗さんが、いらっしゃいました 」
・・・また、知らないのが来たぞ。 君も、午後からの授業、どうすんの?
僕に対し、深深とお辞儀をする彼女。
長い髪が印象的だ。 名門女子高の生徒らしく、品位がある。
彼女は言った。
「 いつも、私たちの安全を守って下さって、有難うございます 」
朝倉が部屋から出て行くのを見計らい、戸村は、僕に近付いて来た。
「 ? 」
そっと、僕の胸に、愛しそうに顔を寄せる。
・・・な・・ 何だ、この展開は?
戸村は、息が掛かるほど近くで顔を上げると、心配そうな顔で言った。
「 決闘のお話を聞き、心配になって来ました・・・ ああ、星川様・・・! 」
ヤバイ。
そ~ゆ~関係の子なのか、この子は?
星野は、どういう風に接していたのだろうか? もしかして、そ~ゆ~関係か・・・? いや、それはないだろう。 あの、勝気な星野の事だ。 いや、でも・・・
僕は、迷った。
星野は、かすみとの関係維持に努力する、と言ってくれている。 もし、この子との関係が、星野にとって受け入れている関係であるとするならば、それなりの対応をしなければならない。 ここは、思案のしどころだ。 ・・・どっちだ?
僕は、彼女の反応を探った。
「 心配しなくてもいい。 わざわざ来てくれた事には、感謝するよ 」
僕は、優しく彼女の頭を撫でた。
「 ああ・・ 今日は、とても・・ お優しいのね。 早苗、嬉しい・・・! 」
いつもは、邪険か・・・ よし。 ここは、判断せねばなるまい。 星野は、言い寄って来る、この戸村という子に困っていたと見える。 ヘタに気があるような素振りをして、後から星野に文句を言われてもたまらない。
僕は、彼女の肩を引き離し、言った。
「 さあ、もう帰るんだ。 あたしの事は、大丈夫だから 」
戸村は、ウルウルした目で僕を見つめながら言った。
「 キスして下さい・・・ 星川様 」
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